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食物アレルギー

 近年、食物アレルギーが増えており関心を持っている方が多いと思います。食物アレルギーを過度に怖がるあまりに食べることを遅らせることがかえって食物アレルギーのリスクを高くすることがわかってきました。また、皮膚が荒れた湿疹の状態が続いていると皮膚から家の中にある小さな食べかすが体に入ってしまい食物アレルギーの発症や悪化につながることもわかってきました。食物アレルギー予防のために離乳食を始める前のスキンケアが重要です。

目次

症状

 特定のもの食べると蕁麻疹が出て、時に咳や嘔吐・下痢を伴うものが食物アレルギーです。赤ちゃんの場合だと食物アレルギーが原因で治療をしてもなかなか湿疹が治らないことがありますが、赤ちゃんの湿疹すべてに食物が関与しているわけではなく、一部が関与しているに過ぎません。

診断、血液検査、検査

 症状がない(または食べたことがない)のにアレルギーの血液検査をする意義は少ないと思います。アレルギーの血液検査は食べて症状があった場合の裏付けや、今後の経過を見るための指標、複数品目同時に食べてどれが原因かわかりにくい時のために行います。また、血液検査ですべての食べ物を調べることはできないため、皮膚検査を行うこともあります。しかし、診断に一番大事なのは血液検査でも皮膚検査でもなく、実際に食べて症状が出るかどうかですので、明らかに特定の食べ物を食べると症状が出るという場合には、検査はせずに診断することはよくあります。必要に応じて院内で食物経口負荷試験を行い、本当に食物アレルギーがあるのかどうかや、どの程度であれば安全に食べることができるのかを調べます。

皮膚検査

 血液検査で調べることができない食べ物(マカダミアナッツなど)や血液検査よりも皮膚検査の方が症状と関連しやすい食べ物(主に果物など)では皮膚検査を行います。皮膚検査にもいくつか種類があるのですが、当院ではプリックプリック検査という検査を行います。自宅から持ってきてもらった食べ物をプリック針という細い針で刺して食べ物の成分を針先に付着させ、そのまま腕の皮膚に刺します。刺すというよりは“つつく”感じなので痛みはほぼなく、血も出ません。皮膚に刺して15分後に刺した部位に蕁麻疹ができるかどうかでアレルギーがあるかどうか判定します。簡単で便利なようですが欠点もあり、その日の体調や飲んでいる薬、針を刺す微妙な力加減によりできる蕁麻疹の大きさが変わってしまうことがあり、一度の検査で結論が出なかったり、時系列で比較するにはやや向いていません。

食物経口負荷試験

 日本国内で統一された食物経口負荷試験(以下、負荷試験)の方法はなく、ガイドライン等を参考に各医療機関が独自の方法で負荷試験を行っているのが現状です。医師が複数人いる大きな病院ではある程度リスクのある負荷試験を行えるかもしれませんが、クリニックでは極力リスクを減らすべきと私は考えています。
当院ではリスクを減らすために一度の負荷試験で1回だけ摂取する1回法での負荷試験を行っています。例えば卵を1g食べて30分後に今度は3g食べる2回法では、もしかしたら卵1gを食べて40分後にアレルギー症状が出る人に対して40分経たないうちに3gというもっと多い量を食べることでより強いアレルギー症状を起こしてしまうことになるかもしれません。
 もちろん2回法にすることで一度の負荷試験でたくさんの量を食べられるかもしれないというメリットはありますが、当院ではそのメリットよりも安全性を重視しています。卵アレルギーの人が卵1個を食べられることは最終的な目標ではありますが、急いでそれを目指す必要はないと考えているためです。何を(卵ならばゆで卵?卵黄?卵白?など)をどれくらい(何gくらい)負荷するかは今までのアレルギー症状を詳細に伺って上で保護者の方と相談しながら決定します。アナフィラキシー(強いアレルギー症状)を起こしたことがある方は安全に配慮し病院へご紹介させていただきます。

食物経口負荷試験の当日の流れ

  1. 当院で食物経口負荷試験を行う場合は、自宅から食べる物や食器を持参していただきます。
  2. 10時に来院していただき、食べる量を医師と一緒に計測した上で(はかりは院内にあるので持参は不要です)診察室で食べていただきます。
  3. その後は個室で1時間程度経過を見て、症状があれば必要に応じた治療を行い、症状がなければ今後の方針を相談して終了です。
  4. 当院では安全に配慮して1回の負荷試験で1回の摂取を基本とし、複数日負荷試験を行うことで食べられる量を増やしていきます。
    例:全卵炒り卵2gで負荷試験を行い症状なし→その後は自宅で1gの炒り卵または同等の加工品を摂取→1か月後に5gで負荷試験→その後は自宅で5gを上限→1か月後に10gで負荷試験。
    負荷試験で症状が出た場合は、症状が出ない程度に自宅で摂取を続け、6~12か月後に再度負荷試験を行う。
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