アトピー性皮膚炎
市川真間駅徒歩2分
JR市川駅北口徒歩7分
047-711-4790
ご予約はインターネットからお取りください
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎の特徴的な症状は「皮膚が赤くなる、細かいぶつぶつができる、じくじくする、かさかさする、ぼろぼろはがれる、かたくなる」などで、多くは痒みを伴います。症状は左右同じように現れやすく、おでこ、目の周り、口の周り、首、手足の関節、胸や背中などに現れます。
アトピー性皮膚炎を引き起こす原因は遺伝因子と環境因子に大別されます。
遺伝因子は皮膚のバリア機能が弱いことと外から入ってきた異物に反応しやすいこと(アレルギー反応)の2つがあります。
環境因子にはアレルギー反応が関係しているものと関係していないものがあり、関係しているものは、ダニ、植物、細菌、カビなどがあり、関係していないものには汗による刺激、乾燥、せっけんなどの化学的な刺激、掻くことによる物理的な刺激、心理的ストレスがあります。これらが人によっては複数関連してアトピー性皮膚炎の原因となったり、悪化させる因子となったりします。
このような症状が一時的なものではなく、長期間(1歳未満の乳児では2か月以上、1歳以上では6か月以上)続く場合にアトピー性皮膚炎と診断されます。湿疹とアトピー性皮膚炎の違いですが、湿疹とはその時点での皮膚の状態を言い、湿疹が長期に出たり良くなったり悪くなったりを繰り返すのがアトピー性皮膚炎です。
アトピー性皮膚炎が悪くなるのにダニや食物が関与することもありますが、アトピー性皮膚炎の診断に血液検査が必要なわけではないので、多くの場合はアトピー性皮膚炎だけのために血液検査をすることは採血が痛いというデメリットの方が大きいと思います。乳児のしっかり治療しても治りにくい湿疹の場合には、頻度は高くないですが食物アレルギーが湿疹の原因になっていることがあります。年長になればなるほど、食物アレルギーは湿疹ではなく食べた直後の蕁麻疹という症状の出方をするのでアトピー性皮膚炎との直接の関連性は低くなってきます。乳児の治りにくい湿疹の場合でもいきなり食物アレルギーを疑い検査するのではなく、適切な種類の軟膏を適切な量しっかり塗って湿疹が良くなるかどうかをまず確認します。
治療は皮膚の状態に応じた軟膏を使います。症状が軽微であれば保湿剤のみで治療することもありますが、皮膚に炎症(赤みやガサガサ)がある場合は重症度に応じたステロイド軟膏が治療の中心です。皮膚の状態が良くなれば保湿剤を中心に普段からのスキンケアで良い状態を維持できる場合もありますが、ステロイド軟膏を止めると症状がまたすぐに悪くなる場合はステロイド軟膏をいきなり止めないことをお勧めしています。ステロイド軟膏を塗る頻度を毎日から1日おきや2日おきに徐々に減らしていく治療をプロアクティブ療法と言います。どのタイミングでステロイド軟膏を減らしていくか、ある程度慣れてくればご自宅でもできますが、当院に受診していただき皮膚の状態を一緒に観察しながら薬の減らし方をご相談させていただいく方が、それぞれのお子様に合ったより良い治療ができると考えております。また、状態が悪い時はステロイド軟膏が必要なことが多くなってきますが、状態がある程度良くなってからはステロイド軟膏以外にもプロトピック軟膏やコレクチム軟膏などステロイド軟膏以外の薬を用いることもできます。これらの軟膏にも各々特性がありますので医師と相談の上で使用していただいた方が良いと考えます。なお、当院ではステロイド軟膏以外の軟膏も用いますが、治療の中心はステロイド軟膏と考えており、脱ステロイドの方針は取っていません。
軟膏を十分量塗らずにいつまでも良くならないことをたびたび経験します。軟膏はたっぷり塗りましょう。痒い時にステロイド軟膏を塗って、痒みが治まったら塗るのを止めるという話を時々聞きますが、皮膚を触ってガサガサ、ザラザラしているうちはまだ皮膚に炎症があるので薬の止め時ではありません。触ってツルツルになるまで毎日軟膏を塗り、ツルツルになったら止める、または塗る頻度を減らしていく、というのが適切な塗り方です。ステロイド軟膏を止めた後も毎日の保湿は続けましょう。塗る量については1FTU(1 finger tip unit)という考え方があり、大人の人差し指の先から第一関節まで薬を乗せた量が1FTU=約0.5gに相当し、大人の手のひら2枚分の面積に塗るのに適した量であるというものです。他に、塗った後にテカる程度、ティッシュが付く(付けても下に落ちない)というのも目安です。
ステロイドというと副作用を心配される方がいらっしゃいますが、ステロイドの副作用の主なものは飲み薬を長期間服用したことによります。塗り薬の場合は主に皮膚に作用するため、塗ったところの皮膚が薄くなる、血管が浮いてくる、毛が多くなるなどの副作用がありますが、多くは中止することで回復します。しかし、強いステロイドを使用した場合や顔面、陰部などの吸収率の高い部分に使用した場合に副作用が出やすくなるため注意は必要です。
副作用対策のために、皮膚の状態や場所によって薬を使い分けること、皮疹が改善した際には適切にランクダウン(弱いステロイドに変更すること)すること、塗る頻度を徐々に減らすこと(プロアクティブ療法)、ステロイド以外の塗り薬(プロトピック軟膏やコレクチム軟膏)も使うことなどを医師と相談しながら治療を続けることが大切です。悪化してから治療するとどうしても強いランクのステロイド軟膏を使う必要が出てきてしまうため、そんなにひどくないうちから弱い~そこそこ強いステロイド軟膏でしっかりと治療することと、なるべく自己判断でいきなり中止にしたりしないことも大切です。
なお、時々誤解があるのが、ステロイド軟膏の使用後に色素沈着がみられることがありますが、これはステロイド軟膏によるものではなく、皮膚の炎症が続いていたことによるための炎症後色素沈着です。逆に色素沈着を防ぐためには、早期にしっかりと治療して皮膚の炎症を抑えることが大切です。
アトピー性皮膚炎についてさらに詳しく知りたい方は、環境再生保全機構 ERCA(エルカ)「ぜん息悪化予防のための小児アトピー性皮膚炎ハンドブック」をご参照ください。