急性胃腸炎|いちかわ真間こどもクリニック|市川駅、市川真間駅の小児科・アレルギー科

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急性胃腸炎

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原因

さまざまなウイルスや細菌が原因です。ウイルスによる胃腸炎(ウイルス性胃腸炎)はロタウイルス、アデノウイルス、ノロウイルス、アストロウイルス、サポウイルス、その他にも多種のウイルスが原因となり、家族内や保育園内などで感染者の吐物や便を介して感染することが多いです。細菌による胃腸炎(細菌性胃腸炎)はカンピロバクター、サルモネラ、腸炎ビブリオ、病原性大腸菌などが原因となり、細菌に汚染された飲食物を介して感染することが多いです。

症状

嘔吐、下痢、腹痛が特徴的ですが、その3つすべての症状があるとは限らず、発熱はあることもないこともあります。嘔吐がある場合、嘔吐は最初の1~2日がピークで以後は嘔吐しづらくなります。その間、脱水や低血糖にならないようにすることが大切です。下痢は1週間から長いと2週間続くことがあります。細菌性胃腸炎ではこれらに加えて血便を伴うことがあります。

診断

流行状況や細菌性胃腸炎であれば摂食歴を参考にし、症状により疑い診断します。ロタウイルス、アデノウイルス、ノロウイルスには便を用いた迅速抗原検査がありますが、ウイルスの種類により治療が変わることがないことと、検査できない種類のウイルスも多く、検査でロタウイルス、アデノウイルス、ノロウイルスが否定的でもウイルス性胃腸炎を否定できるわけではないため、検査する意義はあまりありません。病院では病院内の感染対策や脳症など特殊な病気の際に原因ウイルスを特定するために検査することはあります。

摂食歴や症状から細菌性胃腸炎を疑う時は便の培養検査を行うことがありますが、結果が出るまでに5日~1週間程度かかるため、結果が出る頃には回復していることがほとんどです。

治療

対症療法が基本です。嘔吐に対しては吐き気止めを適宜使いながら後述する通りに水分摂取をしながら嘔吐しやすい1~2日の間をしのぎます。水分摂取ができずに脱水や低血糖になると状態が悪化し入院になってしまうことがあるので、これが一番重要です。点滴は血管を通して体に水分と糖分の補給をしているだけですので、点滴によって胃腸炎が早く治るわけではなく、なってしまった(あるいはなりつつある)脱水や低血糖を改善させるために行うものです。整腸剤を飲むことで少し(1~2日程度)だけ下痢が早くよくなることが期待できるので整腸剤を処方されることが多いですが、飲まないと治らないわけではないため、嘔吐が落ち着いてから飲めば十分です。

ウイルスそのものをやっつける治療はなく、抗生物質は無効であるばかりでなく、かえって下痢を悪化させる可能性があります。抗生物質は細菌をやっつける薬ですが、細菌性胃腸炎だからといってすべての人に抗生物質が必要というわけでなく、多くが自然に回復します。

水分の摂り方の注意点

嘔吐や強い吐き気がある間は、食事は無理せずに水分を中心に摂取してください。数日程度食事を摂らなくても栄養失調にはなりません。

水やお茶のみでは水分は足りても糖分・塩分が足りないため、オーエスワン®などの経口補水液が適しています。ミルクや母乳もOKです。経口補水液は塩味があり苦手なお子様もいるので、飲めない場合はリンゴジュースなど好きな味でも構いません。

水分のみでも一度に多量に飲むと嘔吐しやすくなります。水分のみの摂取でも嘔吐する場合は、吐き気止めを使いつつ、少量頻回に摂取すると吐きづらくなります。具体的には体重当たり1mL(10kgなら10mL)くらいの水分を飲み、嘔吐がなければ5分以上あけてまた同量を摂取します。数回大丈夫そうなら1.5~2倍ずつなど摂取量を増やしていきます。

嘔吐が落ち着いてからの食事は、油物を控える程度で通常の食事で構いません。食事が摂れるようになったらジュースの飲み過ぎに注意しましょう(下痢が長引く原因になることがあります)。

こんな時は受診を

泣いても涙が全く出ない、舌など口の中が渇いている、尿が極端に少ない(1日1-2回で1回の量も少ないなど)などがあれば脱水傾向になっているため受診してください。

高熱が数日以上続く場合や、多量の血便を認める場合は細菌性腸炎の可能性があるため受診してください。右下腹部の痛みが特に強い場合は虫垂炎(いわゆる盲腸)の可能性があるため受診してください。

家庭内の感染対策

吐物や便を介して家庭内で兄弟や大人にも感染することがあります。アルコールでは死滅しないウイルスもいるため、吐物を処理した後やおむつを替えた後は、手を石鹸でよく洗いましょう。吐物が乾燥したものが空中を舞って感染源になることがあるので、吐物はできるだけ早く処理しましょう。ハイター®などの塩素系漂白剤が吐物の処理に適しています。

登校・登園の目安

「嘔吐や下痢等の症状が治まり普段の食事が摂れること」です。症状が治まっても数週間は便の中にウイルスが排泄されるため便の取り扱いには注意してください。