熱性けいれん
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熱性けいれん
熱性けいれんは「主に生後6か月~5歳頃までに起こる、通常は38度以上の発熱に伴う発作性疾患(けいれん性、非けいれん性を含む)で、髄膜炎など中枢神経感染症、代謝異常、その他明らかな発作の原因がみられないもので、てんかんの既往のあるものは除外される」と定義されます(熱性けいれん診療ガイドライン2015より)。
わかりづらいところもあるのでかみ砕きます。熱がある時に腕や脚が突っ張ったり、大きく震えたりします。これを「けいれん性」と言い、よく皆様がイメージするけいれんです。
「非けいれん性」というのは、一点をじっと見たり、白目をむいたり、力が抜けることです。通常はどちらの場合も呼びかけに反応はしません。紛らわしいものに悪寒戦慄(シバリング)があり、全身が小刻みに震えますが呼びかけには応じます。シバリングも熱がある時に起きますが、悪寒の強いバージョンであり、熱性けいれんとは違います。
「原因がみられない」というのは、まれですが髄膜炎や急性脳炎などの病気が隠れていることがあり、こういったものがないということです。
「てんかん」は、熱がない時にもけいれんを反復する病気で熱性けいれんとは異なりますが、てんかんの人は発熱時にけいれんを起こしやすくなる特徴があるため、それを熱性けいれんと区別しています。てんかんの人が発熱している時にけいれんしていることを熱性けいれんとは言いません。
熱性けいれんを目の当たりにするとおそらく誰しもが慌ててしまいますが、できるだけ落ち着いて以下のようにしてください。けいれんしている状態で抱っこ等をしていると落ちてしまったりして危ないので、安全な床に寝かします。首周りの衣服を緩め、少しでも呼吸がしやすいようにします。嘔吐することもあるので吐物を誤嚥しないように、顔または顔を含めた体全体を横に向けます(仰向けのままだと吐物が気道に入りやすくなってしまいます)。この状態でけいれんの様子を観察し状況を後で医師に伝えられるようにします。一つの目安としてけいれんが5分以上続く時は救急車を呼んでください。5分以上続くけいれんは重積と言って長いけいれんになるリスクがあるためです。
熱性けいれんを起こしたことがある人のうち、1/3は1回こっきりでおしまい、1/3はまたけいれんする、1/3は何度もけいれんすると言われています。
お子様がどの1/3になるかは初回のけいれんの時はわからないのですが、①両親のいずれかが子どもの頃に熱性けいれんをしたことがある、②1歳未満で初回の熱性けいれんを起こした、③発熱からけいれんまでの時間が短い(おおむね1時間以内)、④発作時体温が39度以下に当てはまる場合は再発の確率が上がると言われています。長時間のけいれんを起こした場合や短いけいれんでも繰り返す場合は、発熱した時にけいれんの予防薬を使う方法があります。